体の感じ
散りかかり散りかかれども棕梠の葉に散る桜花《はな》ふぶき溜《たま》るとはせず
ならび咲く桜の吹雪《ふぶき》ぽぷらあ[#「ぽぷらあ」に傍点]の若芽《わかめ》の枝の枝ごとにかかる
わが庭の桜|日和《びより》の真昼なれ贈りこしこれのつやつや林檎《りんご》
青森の林檎の箱ゆつやつやと取り出《い》でてつきず桜花《はな》の樹《こ》のもと
林檎むく幅広《はばひろ》ないふ[#「ないふ」に傍点]まさやけく咲き満《み》てる桜花《はな》の影うつしたり
地震《なゐ》崩《くづ》れそのままなれや石崖に枝垂《しだ》れ桜は咲き枝垂れたり
しんしんと桜花《さくら》かこめる夜《よる》の家|突《とつ》としてぴあの[#「ぴあの」に傍点]鳴りいでにけり
しんしんと桜花《はな》ふかき奥にいつぽんの道とほりたりわれひとり行《ゆ》く
せちに行けかし春は桜の樹下《こした》みちかなしめりともせちに行けかし
さくら花ひたすらめづる片心《かたごころ》せちに敵《かたき》をおもひつつあり
朝ざくら討たば討《う》たれむその時の臍《ほぞ》かためけりこの朝のさくら
あだかたきうらみそねみの畜生《ちくしやう》が桜花《さ
前へ
次へ
全12ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 かの子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング