桜
岡本かの子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)生命《いのち》を
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)桜|日和《びより》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「ぽぷらあ」に傍点]
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桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命《いのち》をかけてわが眺《なが》めたり
さくら花《ばな》咲きに咲きたり諸立《もろだ》ちの棕梠《しゆろ》春光《しゆんくわう》にかがやくかたへ
この山の樹樹《きぎ》のことごと芽ぐみたり桜のつぼみ稍《やや》ややにゆるむ
ひつそりと欅《けやき》大門《だいもん》とざしありひつそりと桜咲きてあるかも
丘の上の桜さく家《いへ》の日あたりに啼《な》きむつみ居《を》る親豚子豚
ひともとの桜の幹《みき》につながれし若駒《わかごま》の瞳《め》のうるめる愛《かな》し
淋しげに今年《ことし》の春も咲くものか一樹《ひとき》は枯《か》れしその傍《そば》の桜
春さればさくらさきけり花蔭《はなかげ》の淀《よど》の浮木《ふぼく》の苔《こけ》も青めり
ひえびえと咲きたわみたる桜花《はな》のしたひえびえとせまる肉
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