字下げ]
女どきっとして足を引すぼめ、
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
――えっ。
――まあよろしい、早く行きなさい。
――では、お二方、ご免遊ばせ。
[#ここから3字下げ]
女去る
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して2字下げ]
――呆れたな君は。狐を一晩引張り込む約束をするなんて、物好きにも程がある。
――まあ、いいから任して置け。ときに暁方近くなって、だいぶ寒くなった。落葉でも掻き集めて来い。焚火《たきび》してあたろう。
[#ここで字下げ終わり]
三
[#ここから3字下げ]
再び鈴懸の仮寓。夜更《よふ》け、燈火の灯影に鈴懸炬燵にあたって、仮寝している。霰の音。戸を叩く音。
[#ここで字下げ終わり]
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――誰だ戸を叩くのは。
――あの……ちょっと、お開け下さいまし。
――若い女の声だな。
――人に見られては難儀いたします。早く開けて入れて下さいまし。――もし。
――誰だか判らんものを、そう無闇に入れられるか。
――おや、もうお忘れでございましたか
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