岡本かの子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)瀟洒《しょうしゃ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)内密|咄《ばな》し

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#歌記号、1−3−28]
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      非有想非無想処――大智度論





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時は寛保二年頃。
この作中に出る人々の名は学者上りの若い浪人鈴懸紋弥。地方藩出の青年侍、鈴懸の友人二見十郎。女賊目黒のおかん。おかんの父。
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         一

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上目黒渋谷境、鈴懸の仮寓、小さいが瀟洒《しょうしゃ》とした茶室造り、下手《しもて》に鬱蒼《うっそう》たる茂み、上手《かみて》に冬の駒場野を望む。鈴懸、炉《ろ》に炬燵《こたつ》をかけて膝を入れながら、甘藷《かんしょ》を剥いて食べている。友人の二見、椽《えん》に不動みやげ餅花と酒筒を置いて腰かけている。
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[#ここから改行天付き、折り返
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