だんのせせらぎはなみなみと充ちた水勢に大まかな流れとなって、かえって間が抜けていた。
「これなら、大したことはない」
と復一は呟きながら念のためプールの方へ赤土路をよろめく跣足《はだし》の踵《かかと》に寝まきの裾《すそ》を貼り付かせ、少しだらだらと踏み下ろして行った。
プールが目に入ると、復一はひやりとして、心臓は電撃を受けたような衝動を感じた。
小径の途中の土の層から大溝の浸《し》み水が洩《も》れ出て、音もなく平に、プールの葭簾を撫《な》で落し、金網《かなあみ》を大口にぱくりと開けてしまっている。プールに流れ入った水勢は底に当って、そこから弾き上り、四方へ流れ落ちて、プールの縁から天然の湧き井の清水のように溢れ落ちていた。
復一が覗くと、底の小石と千切られた藻の根だけ鮮かに、金魚は影も形も見えなかった。
復一はかっとなって、端の綴《と》じが僅《わず》か残っている金網を怒《いか》りの足で蹴《け》り放った。その拍子《ひょうし》に跣足の片足を赤土に踏み滑らし、横倒しになると、坂になっている小径を滝《たき》のように流れている水勢が、骨と皮ばかりになっている復一を軽々と流し、崖下の古
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