とわたくしの間もこれと同じ気もちです。折々《おりおり》の歌でそれを表わして置きます。
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かりそめに叱《しか》りうべしや吾子《あこ》といへどこの天地のひとりの男《お》の児《こ》
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この歌は下手《へた》ですが子供を叱ったあとの気もちです。
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この世なるえにしふかくして母よ子と和《なご》みくらさんみじかきこの世を。
おみなごの足《た》らはぬふしや多からん母の名によりて許せよわが子。
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子供のキャッチボールのそれ球[#「それ球」に傍点]をわんわんのように這《は》って椽《えん》の下にさがしに行ったりどろだらけな靴下をつくろってやることもあります。しかしわたくしの下駄《げた》も子供に揃《そろ》えさせることもあり郵便をいれにやることもあります。こちらが小言《こごと》を云う時もありあちらから意見されることもあります。
女中《じょちゅう》に対しても同じです。余計《よけい》なお饒舌《しゃべり》や※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]言《うそ》を云《い》う時には口では云わずになるたけきつい[#「きつ
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