ひま》をさいて、とにかくそれに励《はげ》むようになったのも仕向けられるばかりでは済まないこれによって仕向けて上げようと云う意力《いりょく》から始まった事《こと》です。それから又《また》いくら信念の上に立った親愛同志の同棲者に対してでも、やはり些細《ささい》な観察や評価の眼はにぶらしてはなりません。それは決して其《その》結果によって打算《ださん》的な仕向けをするという卑《いや》しい考えからでは無くて、自分の身辺《しんぺん》を晦《くら》まして置くという手前勝手を許さない事になり、また本当に自分の親愛なものの心を停滞させ腐敗《ふはい》させ無い為のやはり叡明《えいめい》な愛の作業だと思います。時には怒りも憎《にく》みもします。しかしそれは私情の憎みや怒りとは違います。(私情で怒ったり憎《にく》んだりした時は直《す》ぐに私は自分に恥じます。そして対者《あいて》につつしんであやまります。)
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うやうやしき礼《いや》の八千度さかしらのわがひと言はゆるし賜《た》ぶべし。
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 子供に対しての事も一寸《ちょっと》お聞きになったようですね。子供
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