あ君こそひとりである
唯だひとりである
自分は君を崇拜する
あらゆるものに先立つて運命をひらき
常にひとりであつて
とどまる所を知らない
君よ
その行く果てを知らない
君よ
ああかくの如き運命のなかにあつて
めげず力拔けせずたゆみなく行く君よ
ゆるみない君よ
うちからうちから全面に燃えかがやく君よ
なにものも助けなく
その出す力で空中に浮び
無限のなかに進みゆく君よ
自分は君を思ふとき
ちから湧く
嵐吹き
雨じとじと降り
みじめのどん底に沈んでゐる時でも
力湧く
斯くして自分は君を崇拜するのだ
嵐の上に張り充してゐる君の力を感ずるのだ
この嵐と鬪うて行く力を感ずるのだ
やがてこの嵐を壓倒して行く力を感ずるのだ
ああ萬物の先きになつて
常になに物も手をつけない先きにつける君よ
淋しいを淋しいとせずはずんで行く君よ
ひとりの君よ
内から光となつて全身ひかり輝く君よ
自分は君を崇拜し君を讃美し
君とわれとの愛を邪魔するあらゆるものを斬り伏せて
踏みこえて
君へ行く
ああ、あらゆる人間よ
心ある多くの兄弟よ
彼を崇拜し
彼を讃美して
共々に力合せて進まう
彼を崇拜し
彼を讃美して
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