しんじゅ》の局《つぼね》、高倉典侍、現岩倉侯爵の祖母君、故|西郷従道《さいごうつぐみち》侯の夫人、現前田侯爵母堂、近衛公爵の故母君、大隈《おおくま》侯爵夫人綾子、戸田伯爵夫人極子を数えることが出来る。東伏見宮周子殿下、山内禎子《やまうちさだこ》夫人、有馬貞子夫人、前田漾子《まえだようこ》夫人、九条武子夫人、伊藤※[#「火+華」、第3水準1−87−62]子《いとうあきこ》夫人、小笠原貞子夫人、寺島鏡子夫人、稲垣栄子夫人、岩倉桜子夫人、古川富士子夫人の多くは、大正期に語る人で、明治の過去には名をつらねるだけであろうと思われる。
山県公の前夫人は公の恋妻であったが二十有余年の鴛鴦《えんおう》の夢破れ、公は片羽鳥《かたわどり》となった。その後、現今の貞子夫人が側近《そばちこ》う仕えるようになった。幾度か正夫人になるという噂《うわさ》もあったが、彼女は卑下して自ら夫人とならぬのだともいうが、物堅い公爵が許さず、一門にも許さぬものがあって、そのままになっているという事である。表面はともあれ、故|桂《かつら》侯などは正夫人なみにあつかわれたという、その余の輩《ともがら》にいたってはいうまでもない事
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