明治美人伝
長谷川時雨
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)麗《うるわ》しさ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)個性的|価値《ねうち》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)伊藤※[#「火+華」、第3水準1−87−62]子
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)あら/\として
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一
空の麗《うるわ》しさ、地の美しさ、万象の妙《たえ》なる中に、あまりにいみじき人間美は永遠を誓えぬだけに、脆《もろ》き命に激《はげ》しき情熱の魂をこめて、たとえしもない刹那《せつな》の美を感じさせる。
美は一切の道徳《どうとく》規矩《きく》を超越して、ひとり誇《ほこ》らかに生きる力を許されている。古来美女たちのその実際生活が、当時の人々からいかに罪され、蔑《さげ》すまれ、下《おと》しめられたとしても、その事実は、すこしも彼女たちの個性的|価値《ねうち》を抹殺《まっさつ》する事は出来なかった。かえって伝説
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