いので手紙にしました。お礼をおっしゃい。
「文壇女性見立」
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女教師鴎外、芸妓紅葉、女生徒|漣《さざなみ》、女壮士|正太夫《しょうだゆう》、権妻《ごんさい》美妙、女役者|水蔭《すいいん》、比丘尼《びくに》露伴、後室《こうしつ》逍遥、踊の師匠眉山、町家の女房柳浪。
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それからね、衆議院議員見立には、山田美妙斎は改進党の島田しゃべ郎(三郎)よ。偉いのは田辺竜子と小金井貴美子と、若松|賤子《しずこ》の三人が、女でも、その仲間にはいっていました。
「当世作者忠臣蔵見立」というのでは、
由良之助《ゆらのすけ》が春のや(逍遥)で、若狭之助《わかさのすけ》が鴎外で、かおよ御前《ごぜん》が柳浪、勘平《かんぺい》が紅葉で、美妙はおかるよ。力弥《りきや》が漣《さざなみ》山人なの。定九郎《さだくろう》が正太夫なのは好いわね。
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 錦子は、おかるが美妙というところで、クスンと鼻で笑ったが、嬉しくなくはないが、なんとなく浮きたたなかった。
 その晩の出来ごとで、もひとつ錦子を悲しませたことが出来た。
 二、三年前から女の髪剪《かみき》りがはやっ
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