くの子《こ》をまふけたり。然間《しかるあひだ》、日《ひ》の神《かみ》、我子《わがこ》となづけたり。さてこそ正哉吾勝《まさやあかつ》とは名《なづ》けたれ。日蓮うまるべき種《たね》をなづけて候へば、爭《いかで》か我子《わがこ》にをとるべき、有一寶珠價値三千等《ういつはうしゆかちさんぜんとう》、無上寶聚不求自得《むじやうはうしうふきうじとく》。釋迦如來皆是吾子等云々《しやかによらいみなこれわがこうんぬん》。日蓮あにこの義にかはるべきや。幸なり、幸なり、めでたし、めでたし、又々申べく候。あなかしこ、あなかしこ。
[#ここで字下げ終わり]
護符《ごふ》――藥の功徳あらはれてか、その手紙のあつた翌日、五月八日に女子が生れたので、早速名づけ親になられたのだ。
[#ここから2字下げ]
若童|生《うま》れさせ給由承候《たまひしよしうけたまはりさふらふ》。目出たく覺へ候《さふらふ》。誠《まこと》に今日は八日《やうか》にて候《さふらふ》も、彼《かれ》と云《いひ》此《これ》と云《いひ》、所願《しよぐわん》しほ(潮)の指す如く、春の野に華の開けるが如し。然れば、いそぎいそぎ名《な》をつけ奉《たてまつ》る。月
前へ
次へ
全20ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長谷川 時雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング