喰い止めたが、その与党が我県と海を隔ている大分県にも蜂起して、今にも我県へ攻め来りそうになった。しかのみならず、県下でも、宇和島、大洲方面には大分西郷に心を寄せる者もあって、少しも油断のならぬ状況になった。或る日警察課長の武藤某氏がこれから大洲地方へ出張するといって、部下を随えて行ったが、三、四日して帰った時は、多くの国事犯人を捕縛して来て裁判所の方へ引渡した。これは大洲と宇和島との不平党仲間で、大分県の蜂起すると共に、我県でもこれに応じねばならぬといって、密に兵器を貯えて、まず松山の県庁を襲撃するという事に申し合っていて、今やそれを実行せんとする際、武藤警察課長が入り込んで捕縛したのであった。銃器弾薬などは、その人々の家の縁の下などに隠してあったという事である。して見ると、一つ違えば県庁へ打ち込まれて、我々の県官もひどい目に遭うのであった。尤も県庁でも、何時事変が起るかも知れぬというので、多数の県官が、宿直する事になっていて、私も宿直の日は短刀位は用意し、なお元気を付けるために瓶詰の酒位は携帯していた。そんな事で学事は多少捨て置かるる事になったが、いつまでもそうしては居られぬというの
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