中に、それ西洋人が来たと叫ぶ者があるや否や数人が竹槍を持って重松氏を馬から突落して、かなり重傷を負わせた。既に大少参事は引取るし、藩の官吏に重傷を負わせるという事になったから、一揆はその勢で久万山を下り、浮穴郡の他の部分や久米郡伊予郡へも同様に蜂起の煽動をした。そうして出て来ねば家屋を焼くと威かしたのでいずれも久万山の一揆に加勢することになった。もとより知事公留任の希望というは、藩地全般にそうなのであるから、多くは待っていたといわぬばかりに一揆に加わったのである。そうして手始めに久万山以外の浮穴郡を管轄している租税課出張所を焼いた。そこでここにいた権大属石原樸氏も藩庁へ来て、この上は是非といって出兵を求めた。
この一揆の起った事を旧知事の久松家にも聞き込まれ、このまま捨て置かれぬといって、まず旧家老あたりの者やその他藩の元老顔をしている者に説諭を托された。従って私の父櫨陰もこの仲間に加って、彼方此方と奔走して説諭をしたのであった。がなかなかそれらの説諭には承服せない、一揆の与党には温泉《おんせん》郡、和気《わけ》郡、風早《かざはや》郡、野間郡等も加わって、残る処は周布郡桑村郡のみであ
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