、やはり厳重な格子造りになっていたが、錠前を開けると、権太丞一行がまず這入って行く、そこで私等も這入ったが、獄屋は私には始めての事だから、頗る汚らわしく穢く思った。殊にこの信徒には、他の囚人よりは寛大にして少しの煮焚なども許していたから、その火気が充ちているので、一層臭気も甚だしかった。中野権太丞は、それらを見分した後、今後かような所へ置く事はならぬ、また一家の男女を分ち置くという事も悪いから、それを改めよとの事であった。因てこれらの信徒を置くために、城下外れでお築山という方面に卒の下等に属するお仲間という者を置いてあった棟割長屋があったのを他へ移して、そこへ信徒を住わして、一家は一戸ずつ同居させて、夫婦も子供も団欒させる事になった。子供はこれまでは女監の方に入れていたのである。そうしてこの信徒に或る一人はなんと思ったか早くより改宗したいと申し出たので、それだけは、獄屋以外に置いて特別に労っていたのであるが、この際同じ長屋続きに住う事になったので、その人が他の信徒に対して顔を合すのが極りの悪るそうな風をしていたのも可笑しい。これらは少し後の事で、中野権太丞は右の獄屋を検分した翌日自分に
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