めた。なおこの卒を廃する際にも若干の一時手当を交付したのである。けれども俄かにかく解放せられたので、この卒団のものは、非常に憤怨して陰では散々当局者を罵っていたが、まさか反抗するほどの勇気もなかった。憤怨といえば、士族以上も門閥を失い家禄を奪われたのであるから、随分不平を唱えていたことは勿論である。要するに当時の藩庁はかような空気の中に孤立していたのであったが、大参事の鈴木重遠氏を始めが胆気もあって改革に熱心であったために、何ら顧慮する所なく諸事を断行した。尤も私はただ東京帰りの聞きかじり西洋通の青年であるから、さほど度胸もなく見識もなかったのだが、年の若いだけに別に心配もなく先輩に追随していた。殊に学校の改革は多少自分にも考えがあったから、老先生の眼前で突飛な改革をしてそれには多少得意と興味を持っていた。が、宅へ帰ると永年藩政に勤労して実験にも富んでいる父が控えているので、なんだか極りの悪い感じもあったが、父は藩政の改革に対しては一言もせず、かつ私をも咎めなかった。父は従来富貴功名には淡泊で、ただ昔気質な君に忠義を尽すという一点張りであったから、藩政の局に当っては人言をも顧みず信ずる
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