触れるかと思って、冷々したが、竿の操りがなかなか巧いのでそんな虞れもない。遂には安心して折からの日和で日向ぼっこをして睡りに入った。この難所は三里余もあったそうだが、それから川幅も広く平流となって、何らの危険もなくなったと共に平凡な景色となった。ただ或る時犬山城が左岸に櫓や石垣を聳えさせているのが目を引いたのみであった。この日は桑名へ着してまた陸路を貪って四日市へ泊った。翌日は追分駅で、例の饅頭をたらふく喰って、これも少し腹を損じたが、これからいよいよ参宮道で周囲には菜種の花が満開である。季節柄田舎からの参宮者も多いので、数々の講中が伊勢音頭を唄いながら、男女うち混じて歩いている。かつては絵で見ていた、三宝荒神、即ち一匹の馬に左右へ炬燵櫓を逆さにしたようなものを付けて三人の女や子供が乗っているのを実際に見た。津の駅では、問屋の役人が私の藩主と津の藩主と親戚であるという事で特に叮嚀に扱ってくれたのがちょっと嬉しかった。山田へ着いた日直に外宮内宮を参拝して、妙見町に止宿したが、その晩奮発して、古市へ登楼した。しかし古市踊りは金がかかるので見ずに終った。翌日は雨が降ったのでやはり流連して、三
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