は遥か隔った所に止め、総督その他が少数の人数で常真寺へ来た。この土州の小隊長の挙動は、後に聞いて土州の総督も賞美しまた我々松山人も頗る痛快に感じたのであった。そこで常真寺の藩主側にあっては、何しろ官軍の総督が来るというので、それぞれ準備をして、一体ならば藩主定昭公は寺の門前へでも出迎われねばならぬのであるが、そこは病気といって、礼服を着用して書院の下の間まで出られて、上の間に通った堅田総督に対し朝廷向よろしくお取成《とりなし》下されたいとの挨拶をせられた。総督からも何とか口を聞いたであろう。而してそこを立去る際、副たる杉孫七郎は忽ち下座の藩主の側へ来て、ただ今は職務上失礼をしました。御心底は察し入るから、朝廷へは十分にお取成をしましょうというような、個人としての丁寧なる挨拶をした。これも我々松山人には聞伝えて頗る好感を与えた。なお前藩主勝成公もこの際堅田総督に面会されて、伜定昭事|不束《ふつつか》を致して恐入る、よろしく朝廷向のお取成をという挨拶をせられたが、これは朝敵となられたわけでもなく、従四位少将はそのままでいられるのだから、それ相当の態度を以て応接せられたのである。
 かく我藩
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