ウ坊主はきいているから、それぞれ命令通りにするのである。世子がちょっとでも物を書かれた紙の反古は小姓が持ち下って、御火中という或る籠へ入れる。また洟《はな》をかむとか唾を吐くとかせられた紙は、これも持ち下って、御土中という籠へ入れる。これは名の如く後にあるいは焼いたり、あるいは埋めたりするのである。それから三度の食事は大概時刻も極っているからまず小姓一人が御次ぎ外の遥か隔った御膳番という役の詰所へ行って、『御手当』という。『畏りました』と御膳番が答えて、それをまた下々の役へ伝えて準備をする。少時経って世子が、もう食事を出せといわるると、また一人が走せて行って、御膳番に『御付方』と告げる。そこでいよいよ出来上った膳部を、御膳番が他の役手を引連れて御次ぎの入口まで運ぶ。すると側役がそこへ出て御膳番と対坐して御毒見をする。これは各々の膳に雛の椀や皿見たような小さな器に、その時世子の食べられる飯その他あらゆる物が少しずつ盛ってあるのを、二人で食べるのである。それが済むと、『御出方』と御膳番が叫ぶから、小姓がその膳部を受取って、世子の前へ据える。この据え方にも極った儀式がある。膳が据わると跡から
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