ったそうだ。
また世子の方へ立戻るが、世子は日に一回は必ず御霊前拝というがあって、この時は、袴を着け小刀を帯び、小姓は長刀を持って附いて行く。また少々不快で横に寝たいと思わるる時は、側役を呼ばせてその事を告げられる。側役が宜しう御坐りますというと、それから小姓が褥《しとね》を敷くのである。褥の下には別に御畳といって、高麗|縁《べ》りの少し広い一畳を敷く。これは御居間方と云う坊主があって、持ち出して敷く。そうして小姓が凡ての夜具をその上へ敷くのである。小姓も侍だから御畳には手をかけない。やはり士分以下の坊主に扱わせるのである。この坊主はその頃の風で袴は穿かず、羽織ばかりを着ている。この坊主は時々居間その他の生花をする事も役である。また世子が入湯をされる時は、湯加減その他風呂場の準備をする。それから世子の背を流したり、衣服を脱がせ浴衣を着せたりすることは小姓の役だ。もし世子が、今少し熱くせよとか、ぬるくせよといわるる時は、まずそれを小姓に告げ、小姓から坊主に告げ、坊主から風呂場の外に居る風呂焚きの仲間に告げる。世子は決して坊主に直接に口をきく事は出来ぬ。けれども実際小姓に告げらるる詞をモ
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