。ただ感じられるものは、単調にして重苦しく、変化もなく情趣もない、不快なぬるぬる[#「ぬるぬる」に傍点]した章句ばかりだ。そして或る他の別な詩人等は、強《し》いて言語に拳骨《げんこつ》を入れ、田舎《いなか》政治家の演説みたいに、粗野ながさつ[#「がさつ」に傍点]な音声で呶鳴《どな》り立てている。或《あるい》はもしその人たちが、かかる種属の詩を以て真の「叙事詩的《エピカル》のもの」と考えているなら、一つの笑殺すべき稚気である。今日の所謂《いわゆる》プロレタリア詩の如き、概《おおむ》ね皆この類のものであるから、特に詩壇のために啓蒙《けいもう》しておこう。
 真の芸術的価値に於ける叙事詩《エピック》は、決してかかる粗雑なる、暴力団的激情のものではない。ゲエテのファウストでも、ミルトンの失楽園でも、そこには人間的非力を以て、神や運命に挑戦《ちょうせん》している思想の深い哲学が語られており、それによって、人間性の地獄から呼びあげてくる真の力強いヒロイックの権力感を高翔《こうしょう》さすのだ。そしてあらゆる叙事詩《エピック》、及び叙事詩的《エピカル》なものの本質は、この種の深刻なる悪魔的|叛逆《は
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