動物のようなもので、どこにもしっかり[#「しっかり」に傍点]した骨組みがなく、柔軟でぐにゃぐにゃ[#「ぐにゃぐにゃ」に傍点]しているところの、一の醜劣な蠕虫《ぜんちゅう》類にすぎないだろう。反対に一方の眼でみれば、定律詩は形式的で生気がなく、時代の流動感を欠いているように思われる。
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* 「権力感情」という言語を、始めて強いアクセントで語ったものは、実に独逸の貴族主義者ニイチェである。ついでながら言っておくが、虚無主義の本質は、「権力を否定する権力感情」で、言わば「貴族を殺そうとする貴族主義」である。逆にニヒリズムは近代の逆説された叙事詩思想《エピカルソート》で、著者の所謂「変装した陰謀者」「歪みたる憎々しきもの」の一つである。
独逸音楽と南欧音楽の特色は、エピカルとリリカルとの、最も典型的な好対照である。独逸音楽の特色は、すべてに於てリズミカルで、拍節が強くはっきり[#「はっきり」に傍点]とし、軍隊の重圧的な歩調のように、重苦しくどっしり[#「どっしり」に傍点]している。反対に仏蘭西や伊太利《イタリー》の音楽は、メロディアスの美しい旋律に充ち、柔軟自由にし
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