鳥獸を追うて移動した。農耕民族には次第に土地に對する信仰が目覺め、土地をあらゆる生物の母とする大地母神崇拜の思想が起つて、一方には亞弗利加及亞米利加インディヤンの生殖器崇拜教を分派し、他方では印度及支那民族の自然崇拜教を創成した。かくて土地を有せざるもの、大地母神の恩惠に浴せざるものを劣等種として卑んだのである。亞弗利加諸民族とブッシュマンとの關係はこの點から説明せられる。
支那民族は世界に於ける最大の農耕民族であり、彼等が黄河流域に定着して農耕時代に入つたのは西暦紀元前遙かの太古である。彼等の文化彼等の思想の凡てがこの農耕神大地母神信仰に依つて説明されることは田崎仁義博士の研究に依つて明かにされた。(「支那古代經濟思想及制度」)。されば彼等が土地に定着せず、農耕の業にたづさはらぬ優人等を蔑視したのは蓋し當然であらう。
同じことが日本に於けるあらゆる非農耕民と農耕民との關係に見ることが出來る。孝徳天皇の大化の革新に依つて凡ては平等の人民となつたやうであるが、事實その區別は確然と保持されてゐた。上古日本の人民は治者階級に依つて良民と賤民と雜戸とに三大別された。良民と云ふのは即ち農耕の
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