世紀遺物の野蠻な體刑を加へられた處を見れば、彼等優人階級が明かに普通人から差別されて一段下の賤民と見られてゐたことを示してゐると思はれる。
支那民族の優人蔑視と日本民族に於けるそれとは確に相通ずるものがある。それは何か。――私は今一つ茲に他の事實をつけ加へたい。亞弗利加蠻族のうちで最も原始的な民族であるブッシュメンは非常に藝術的な民族である。グローセの「藝術の始源」に依れば、彼等は動物説話や創世説話を持つてゐるのみならず、亞弗利加唯一の造形美術的天才を持つ民族であつて、線描の優れた技巧と、鮮明な色彩感覺とを兼ねて居り、山間に産出する鑛物性顏料を繪具として用ゐる術を知つてゐる。從つて斯やうな藝術的文化の上から云へば遙に他の種族を凌駕してゐるにも拘らず、彼等は他民族から常に劣等人種として蔑視され、壓迫されつつあるのである。何故にさうなつたか。
問題は遂に一つに歸するやうである。人類の原始時代に於ては彼等は凡て狩獵に依つて生活した。次いで水草を追ふ牧人の時代が來た。最後に農耕時代に入つて彼等は或る一定の土地に固着する事になつた。然るに或る種族はいつまでも農耕時代に達せず、依然として山野に
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