小人バラ、出版屋を臓物故買犯者、著訳者を背信、偽作、剽窃の常習犯者と見れば大差なしである
図書尊重の念を薄からしむ
古珍書を骨董品視する玩物喪志の輩は例外とし、総て所蔵の図書に対しては尊重の念がなくばならぬ、明晢の論叢、絢爛の文藻も、其著作者の性格を崇敬して感化を受け教導を受ける所に蔵書の価値があるもの、それが一円本流行の後はドーであろう、往年三円五円で買った物が、一円本の中に包含されて、物的価値の損亡に帰した時の怨嗟、著者の利己一遍たる不徳行為に原因するもの、図書尊重の念を薄からしめると共に、著者崇敬の念も亦薄くサメざるを得ないではないか
円本礼讃者は文運促進とか文学普及とか云って居るが、果して文運促進か否か、果して文学普及か否かは別に記するが、仮りに促進であり普及であるにしても、一方に此尊重心減損、崇敬心潰滅の害を与えつつありては、図書本来の使命たる教化も育成もダイナシではないか
予約出版の信を失わしむ
円本の予約出版と称した事は、旧慣破壊の一害であった、いずれも「入会御申込みの際は予約金として金一円御送り下さい、これは最終の会費にあてます、中途で退会さるる御方には返金致しませ
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