引出して自動車に乗せ、各町の家々に立寄って「どうぞ宜しく」と選挙当時の投票乞食見たようなマネを強要されるのは横暴じゃありませんか」と云ったそうである
咄 如何に必死の競争とはいえ、トロクサイ手代連をして斯かる気焔を吐かしめる程の愚劣手段を演じて、無駄な金を遣うなど、経済ならぬ不経済極まる没常識の沙汰ではないか、今に其不経済運動のタタリで、約束手形の不渡だけではすまない事になるだろう、ナモ
残本を安売して談判された出版屋
これは本年六月頃の事である、一円本の第一巻より六巻までとか、第一編より四編までとか云う新本がゾッキ屋の手を経て、少しずつ、各地の古本屋に出た時、大阪の新本取次書店が連合して東京の出版元二三へ談判をした、それが面白い
「我々が一円で配付したのと同じ新本が、昨今古本屋の店に一冊四十銭内外の正札付でならべられて居る、それでお客様から苦情を持込んで来て、結局今後はイラナイと云って破約される、予約者が売った古本なら仕方もないが、出版元が残本を安売しては、我々が迷惑至極である、今後も尚又残本を安売りするのならば、我々は連合して円本の取次販売を断然止めるがドージャ」
此強談判を受け
前へ
次へ
全46ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮武 外骨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング