、これが第一のアテ外れであり、此予約金を取らない事にしたのが後に破約者続出の一因ともなって、それが第二のアテ外れになったのである

取次小売店が横暴と呼ばれた事
前記の如く円本予約の取次店が証拠金を出版元に払込まない口実は、取次店の横暴と云えば云えない事もなく、又『子供文庫』の出版元が予約の証拠金を強要するのならばお客にすすめて、『笑愕全集』に変更させると威喝したなどは、ホントの横暴であろうがソコまで威喝されて平伏した出版元のイキジなさは、アワレ憫然の至り、ソコが競争者の弱味、取次店の付ヶ込み所で、横暴にしても痛快な横暴であったネーと、当時我輩は話柄の一にしたのである
近頃聴く所によると、甲乙両店が競争して居る二種の『エリコノミ全集[#「エリコノミ全集」の「リ」以外に圏点]』は名古屋市で猛烈な競争戦を開始し、一方が各書店の手代を自動車に乗せて、景気よく顧客の戸別訪問をやったので、一方も我負けじと同く手代連を引出し、自動車に乗せて市内巡りをやったが、此時其手代連の一人が或者に「東京の出版屋は地方の取次店を横暴だと叫んだ事もあったが、昨今は東京の出版屋が横暴です、忙しい用のある我々を無理に
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