の男今ではあまり流行らず、子供も出来て、いやに落ついてしまった、それでも円本でこれもドサクサと金が入ったが、なんでも門は平常閉じてあって、プロの侵入を防ぐという、ところが印税を前借りしてしまったので、この頃のように円本の予約者が減じて来ては、あとになった作者は不安此上もなく「一万部位になってしまっては、此方から印税を返さねばならぬ」と長田幹彦大いに悄気《しょげ》て居る由
最初の馬鹿景気に高調子となって、蚊士どものネダルがままに印税の前渡しをした円本出版屋、これも予想裏切「ソレ見ろ」の一つである
広告不信認の悪例を作りし罪
新聞紙上の広告文に誇大と虚偽を並べたものが続出するので、愚直な読者もソー/\は欺かれず、年を追って広告は不信認と成り、新聞読者の増加率に逆比例して広告の効力は漸次薄弱となりつつある今日、広告不信認の悪例は、単に円本のみには限るまい、彼の講談社などが「満天下の熱狂的歓迎」と云っても、誰一人信ずる者はなく、「売切れぬ内にお早く/\」と云っても、急いで買いに行く者はあるまい、と難ずる人もあらんかなれど、講談社の如きヤシ的出版屋の広告はそれにしても、従来然らざりし社名を以て
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