大々的一頁の広告、シカモ前例のない一円本の宣伝、講談社の広告には欺かれない連中も、ツイ、ヒッカカリて馬鹿を見るに至り、今後は如何なる広告も信認するに足りないものとの悪例を示した事実は確な所であろう、要は円本出版屋が悪例の上塗《うわぬり》をしたものと見ればよい

批評不公平の悪習を促せし罪
新聞社が営利事業に化して以来、主張も見識もゼロに成り、編集部が営業部に支配さるるに至り、財源たる広告料の収入に成る事であれば、詐欺広告をも知らぬ顔で載せ其被害投書がイクラ来ても没にするなど、スリの上前を取るような方針であるから、広告料の大増収を得た円本の攻撃文などは一行の記事にも載せないのみか、反って流行を煽《あお》るソソリ文句を並べたり、批評らしく書いてクダラヌ全集物の提灯持をしたので、それに釣られて予約の申込みをした者も少くはない、サテ現物を読んで見ると、面白くもないとか、訳が判らぬとかで投げ出す事に成り、破約する事に成ったのである、そこで新聞紙上の批評文などはアテにならぬものと、初めて知ったコケ共が多い、これも円本出版屋が旧来の悪習を助成したのであって、ヤハリ上塗の罪を重ねたものと見ればよい


前へ 次へ
全46ページ中14ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮武 外骨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング