を歩いても心は賑ふ。
毎日通る道も
眞白く清められて
新らしく人の目を惹き
何ものか心に忍び入る如く
暫らく會は無い
空のあなたの遠い人々も思ひ出して
心は嬉しく、世界は賑ふ。
おゝ若々しい五月の朝よ
男も女も若きも老いたるも均しく
活氣づいて、清い空氣の中を
そよぎつゝ歩き行く時
われは感ず、祝祭のごとき喜びを
おゝ五月の朝明け空の若々しさ
雲は靜かに現はれ來り
高いところを小さく列りつゝ幽かに滑りゆき
天地は靜かに行列しつゝ
運行す
[#地から1字上げ](一九一八、五、四日)

  落葉

或朝、起きて見ると
裏の空地、一杯落葉して居た。
地面が僅か一處、現はれて居る程、地を埋めて
落葉は普通より大きく見えた。
日に反りかへつて皆んな裏返しになつて地面の上に載つて居た。
葉の落ちつくした木は明るくなつて居た。
それだけの葉の落ちた騷ぎはどこにもなかつた。
落ちた夥しい木の葉は少しも動か無い、死んだまゝ。
地面も微塵も動か無い
空も立木も動か無い。
靜かに日が當つて居た。死んだやうに。
空地の隅の日和には白い犬が足を投げ出して
昨夜の雨で汚れた毛を舐めて居た。
自分は奇蹟を思つた。

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