らかに輪を廻して行く。
とある菓子屋の前に配達車と一緒に積んだ藁の上には
十六七の子守兒が寒さうに
遠い星のやうに煙つて居眠つて居る。
脊の子も娘の肩の上に頬をのつけて居眠つて居る
店の中ではどこでも人が皆んな立上つて居る。
一日坐つて居た痺れを感じ乍ら變化を喜んで居る。
はたきを持つた者や爪立ちをして
瓦斯に火をつけて居る小僧が見える。
家族の者も店に出たり奧へ入つたりして居る。
赤門の中の大きな樹は忘られたやうに青空に暮れ殘つて、
變化を生じて高くなり
その上に金星が眼を光らし
その眞下に薄い星が御供のやうに現はれ
舖石の上には小さな灯を澤山ともして夜店を出してゐる親子がある。
父は店を孤鼠々々と飾り
十位の學生帽子の息子は道にしやがんで、
破鍋の中で火をおこして居る。
これ等の平凡なものも廣大無邊な面影に變化を生じる光景は
自分に日頃侮蔑して居た生を懷しいものに思はせ
此世から死んでゆく事は一番淋しい事だと思はせる
死んだ人達も生きかへりたいと思ふだらうと思はせる。
五月の朝
朝は感謝の心に燃える
殊に五月
淺黄空に若い太陽は輝き
織る樣に人の通る道も
人氣無い徑も
どこ
前へ
次へ
全102ページ中72ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
千家 元麿 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング