親鳥から餌を與へて貰はうとする、
もどかし相なその姿は實に親しげだ。實に優しい
その急がしい窒息する樣な聲も、
その待ち切れないで落着かぬ氣の狂ひ相な身ぶりも、
嬉しさに千切れるほどふるふ羽も
小さい全身に滿ちる喜びを有り餘る程現はし、
親しさをこぼし、然し餘り小さく、
あゝ餘りに小さくて
その生きようとする樣は、人に哀れを起さしめる。
[#地から1字上げ](一九一六、七、一五)
夜の太陽
或夜
母の膝に小供は腰をかけて運動してゐる
その顏は赤く輝いて笑つて居る
うしろから小供にそつくりな母の顏も快く笑ふ
健康に滿ち溢れた力強い美しさ
赤い夜の光の艶々しさ
今は見え無い太陽が
夜を貫いてこゝに愛撫の手をのべる。
二人の首を飾るのもその輝きだ。
岩疊な顏に優しく溢れる血汐の喜び
どこにも不健康のしるしは見られ無い
力を出しすぎる位
いくらでも笑ひつゞけてゐる小供と母の顏
樂々とした笑ひの中に肉が躍り
神々の喜びがゆらぐ
肉體を精神が活氣づける。
心靈の波が深いところから溢れて來るやうだ。
死せる者も甦らうとするやうに
此世に爭つて顏を出す
亂れて湧きかへる力強い心靈の波
波の中
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