てしまつて
嬉々として歩んでゆく。幸福の足の危さ。
幾度もつまづき、
ころんでも汚した手を氣にし乍らます/\元氣に一生懸命にしつかり
歩かうとする。
未だ小學校へ入らない
いたづら盛りの汚ない兒供が
メンコを打ち乍ら群れて來る。
忽ち彼はその中に取り圍れる。
皆んなから何か質問される
わが子は横肥りの小さな躯で眞中に一人立つて小さい手をひろげて
小供を見上げて何か告げて居る
小供等は好奇心と親切を露骨に示しメンコを彼に分けてくれる。
何にでも氣のつく小供等は彼の特色を發見して叫ぶ
『着物は綺麗だが頭でつかちだ。』
かくして尚も先へ先へと歩み行く
わが兒をとらへて抱き上ぐれば
汗だらけになり、上氣して
觀念した樣に青い眼をぢつと閉ぢて力がぬける
自分は驚いて幾度も名を呼びあわてゝ木蔭へつれこむ、そこにはひやひやと
火をさます風が吹いて來て、
彼は疲れ切つて眠り入る。
一生懸命に歩き
一生懸命に活動したので
自分の眼には涙が浮ぶ。
[#地から1字上げ](一〇、一一、愛の本所載)
闇と光
暗夜の中に光りはめぐる
暖に、氣丈夫に
生命の火は勢よく燃える。
地を撲つ雨の烈しい時に、
前へ
次へ
全102ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
千家 元麿 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング