た妻か、
子供があつてどこでも働け無い女
子供は二人とも何もしらないのだ
御母さんの困つてゐる心は知らないのだ。
遊ぶ事は出來ずにあつちこつち連れて歩かせられるのだ。
自分は電車を下りようか
道には着飾つた女や男が通る
皆んな餘裕のあるニコ/\した顏をしてゐる
彼女のやうな女は一人も見當ら無い
兩側の店もあいにく立派だ。
この道は若い彼女にはつらい道だ。
しつかり赤ん坊を脊負つて下を見乍ら、
うしろについて來る小供の足を引ずらして、
泣き度くなるやうな小言を云ひ乍ら、
電車道を急いで行かなくてはならない。
一緒に歩いて遣つたらどんなにいゝか
どこに彼女の夫はゐるのだ。
どこに小供の父はゐるのだ。
若しも亡くなつたのならきつと蔭身に添つてゐるのだらう。
頼つて行く人は親切に彼女を歡迎し相だ。
向ふの方には居さうな氣がする
人は幸福だ。青々して居る。
然し不幸な人がゐる以上
その人をそこまで引上げなくてはならない
力を與へ給へと祈つた。
乘り換へ場で下りた。
あとへ引き返へせば彼女に遇へる
『失禮ですがあなたは困つてゐるのではないのですか』と聞けばいゝ
返事に依つて何でもしよう
電車の片道
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