を交へて異形な天馬のやうに
靜かに默つて、居酒屋に入つて居る主を待つ。

人は疲れて頼り無く歩いて行けば
薄闇の深いところから浮き出して
乳房のやうにふくらんだ凸凹の面白くついた地面が
星の中から見たやうに僅か許りはつきりと
子供を顏のとこまで抱き上げて
そのニコ/\した白い顏に見入るやうに、ふと見えて永久に消えた
生白い蝋骨のやうな固い地面が古いたしかな親しいものに感じられ
不思議な恐れと感喜が暖かに甦る。

人は忽ち小さな自分を脱して
無限の同情のある優しい力を與へられ
靄に包まれて見え無い行く手に
身をまかせてスタ/\歩いて行けば
不思議のやうに靄は薄れて行き
ところまだらに空に現はれ、天國は開け
今つくられた許りのどろ/\した星は恍惚として現はれ
人は「如何んな小さいものも大きな天體と一致してゐる」と
思はずには居られ無くなる。
[#地から1字上げ](十一月二十四日)

  子供の動作

子供は不思議な動作に富んで居る。
子守唄をうたへば
必ず何事を捨てゝも母の元へ飛んで行つて非常に落着いて膝を跪き
靜かに念を入れてその頭を母の肩の邊に押し當てゝ顏を隱し
嬉しき事あれば誰れにで
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