)、「姉」の正字」、22−中−9]妹らしく、
一人は子供を脊負ひ夫の噂をして通つた。
もう再び歸つて來無いものゝやうに
羽の薄い蜻蛉が羽だけ光らしてとんで居た。
外氣の中に一日を過せば自分は幸福だ。
空中に見えるものを見れば自分は敬虔の念に打れる。
[#地から1字上げ](十一月五日)
彼は
彼はどこにでも居る。
生命の火はどこにでも居る。
何處にでもめぐり、何處にでも隱れて居る。
氣がつけば彼は露骨だ。
彼は水の中にもゐる。魚となつて水の中にゐる
美くしい金魚となつて瓶の中にも居る。笑ひの中にも涙の中にも
彼は人々がいやがる雨の中にも、闇の中にもゐる。
木の中にもゐる。女や子供や犬や猫の中にもゐる。
見よ、どこにでも彼はゐる
露骨なる彼は。
或る夕暮
夕暮、暖い靄が天と地の間に濛々と湧き起り
晴れた空には光り初めた許りの星がゆつくりと光り
廣大な同情と慈惠はおだやかに地上に降りて來る。
街道に竝んだ小さな家々には灯がともつて
食卓につく家族があらはに見え
戸口の闇にわだかまつて白い犬に食物を與へる少年があり
道端のところ/″\に休んで居る荷馬車の黒馬は
その脊や立髮に金
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