や、
間の拔けた眠さうな不平をこぼす汽笛や、
だるさうな時計の響が味もなくあつち、こつちで
眞似をして仕損つたやうに、自信もなく離れ/″\に鳴る。
あゝ毎晩々々、雨の降る夜も星の降る夜も、自分の頭に響て來る
無數の百姓の車の音は自分に喜びを運んで來る
飾り氣の無い木の音のいつも變らない快さ
天から幸福を運んで繰り出して來る神來の無數の車を迎へる。
その一つ事に熱中した心の底から親切な、
喜びいそぐ無數の車の音、樂しい、賑やかな、勇しい音。
あゝ、汝の勝利だ
その一生懸命な小さいけれど氣の揃つた
豐かな百姓車の軍勢が堂々と繰り出して行つたら何でも負ける。
道を讓る
あゝ勇しい木の輪の音の行列よ
どん/\繰り出して來い。
天の一方から下りて來い
下界を目がけて、一直線に遠い/\ところから走つて來る星のやうに
都會を目がけてその一絲も亂さず、整然と
同じ法則、同じ姿勢で
立派に揃つた、木の音で
電車道を踏み鳴らして行け、躍つて行け
揃ひも揃つて選り拔きの、よく洗はれた手入の屆いた、簡單で、
調法な、木の車の自信のある安らかな音色よ
何ものも御前の音に敵ふ奴は無い。
憎々しい惰弱な病的な
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