に組合せて一々の語の形が出来、そうして色々の違った意味を違った音の形によって言い分ける、すなわち、区別して示すのである。その一定の言語において用いられる違った音の数というものは、こういう音とこういう音とこういう音という風にちゃんときまっているのであります。日本語ならば母音はアイウエオの五つですが、英語になると母音はなかなか沢山あります。「イ」でも舌に力を入れてしっかり発する「イ」と、少し力を抜いて言う「イ」とを別の音として聴き分け言い分けている。「エ」でも日本の「エ」よりももっと舌に力を入れて言う「エ」と、舌を下げて上顎《うわあご》との間を広くして言う「エ」とを区別するという風に、色々沢山違った母音を用いる。それで或る一定の言語ではこういう音とこういう音とこういう音とを用いるという風に、これに用いる音の数がちゃんときまっている。そうして、それだけの音は、一つ一つは互いに違った音であるけれども、決して互いに孤立して存在しているものではなく、全体がしっかりと組合っているのであります。それ故、或る語を発音する場合には、その組合っている多くの音の中のどれかを取り出して、一つずつ順次に発音するの
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