等、椅子置時計の如き家具から草花、降誕祭、避暑の如き年中行事、種痘の如き、いずれも文化生活の背景をもった近代写生であるところに力強さがある。試みに左句を見よ。

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旅駕にまむきにくるや麦埃り   多代
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は広重風の街道をふりわけ荷を肩にし、或は駕で道中した頃の光景で、電車自動車と隔世の感がある。

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寒き世や行燈にさす針の音   花讃女
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 此句もうすぐらい行灯時代の女性の忍苦服従一方の生活を思わせる。

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出代も頭巾でゆくや花の頃   園女
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 元禄時代の華美な風俗を背景として味わうと、花の盛りの頃に、紫頭巾か何かでゆく出代り婢の姿さえ、何となく美しいものに感じられるが、久女の水汲女の生活にあえぐ姿は、激しい時代相を裏付けているのである。

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み簾さげて誰が妻ならん舟遊び   秋色
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の歌麿の美人画にでもありそうな優美さ。

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名月や乗物すゆる橋の上   星布女
[#こ
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