大正女流俳句の近代的特色
杉田久女

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)夫等《それら》は

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「王+爰」、第3水準1−88−18]女

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)こま/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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     前期雑詠時代

 大正初期のホトトギス雑詠に於ける婦人俳句は、女らしい情緒の句が大部分であったが、大正七年頃より俄然、純客観写生にめざめ来り、幾多の女流を輩出して近代的特色ある写生句をうむに到った。実に大正初期雑詠時代は元禄以来の婦人俳句が伝統から一歩、写生へ突出した転換期である。

     一 近代生活思想をよめる句

 (1)[#「(1)」は縦中横] 近代生活をよめる句[#「近代生活をよめる句」に傍点]
 凡そ現代人ほど生活を愛し、生活に興味をもつ者は無い。昔の俳句にも接木とか麦蒔とか人事句は沢山あるが、夫等《それら》は人間を配合した季題の面白
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