げ]
母に似し眉うれしけれ冬鏡 みさ子
炭ついでいつかしみ/″\と語りけり 同
木の芽雨母おうて傘まゐらせぬ 同
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等、一生を父母の慈愛に生き、すなおな落付をもて、女らしいしとやかな佳句をのこしている。
より江氏[#「より江氏」に傍点]は後期雑詠時代に一人舞台で、活躍していられる故、のちにゆずり、ただ
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枯菊に尚愛憎や紅と黄と より江
秋風にやりし子猫のたよりきく 同
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の二句に氏のデリケートな性格、あくどい悩や執着のないさらりとした明るさを見る。
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春菊にみより少き忌日かな 和香女[#「和香女」に傍点]
ひとりすむや行水の間を閂かけて すみ女[#「すみ女」に傍点]
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共にさみしい境遇心持をあらわし、
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寒菊にいぢけてをれば限りなし みどり
草箒木どれも坊主や返り花 同
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みどり女氏[#「みどり女氏」に傍点]の明るさ、元気よさがそのまま出ているし、
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