ト貰わんと困る。なに、手伝うというても、大した事じゃない。まあ、取次|位《ぐらい》のものじゃ。まだ何ぞ角《か》ぞ他《ほか》に頼む事も有ろうが、なに、皆大した事じゃない。行《や》って貰えような?」
「は、何でも僕に出来ます事なら……」
「そ、そ、その僕が面白うない。君僕というのは同輩或は同輩以下に対《むこ》うて言う言葉で、尊長者に対《むこ》うて言うべき言葉でない、そんな事も注意して、僕といわずに私《わたくし》というて貰わんとな……」
「は……不知《つい》気が附きませんで……」
「それから、も一つ言うて置きたいのは我々の呼方じゃ。もう君の年配では伯父さん伯母さんでは可笑《おか》しい。これは東京の習慣通り、矢張|私《わし》の事は先生と言うたら好かろう。先生、此方《このかた》が御面会を願われます、先生、お使に行って参りましょう――一向|可笑《おか》しゅうない。先生というて貰おう。」
「は、承知しました。」
「で、私《わし》を先生という日になると、勢い家内の事は奥さんと言わんと権衡《けんこう》が取れん。先生に対する奥さんじゃ。な、私《わし》が先生、家内が奥さん、――宜しいか?」
「は、承知しまし
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