wすると思って辛抱して、品行を慎むは勿論、勉強も人一倍するようにという話で、聴いていても面白くも変哲もない話だから、雪江さんは話半《はなしなかば》に小さな欠《あく》びを一つして、起《た》って何処へか行って了った。私は少し本意《ほい》なかったが、やがて奥まった処で琴の音《ね》がする。雪江さんに違いない。雪江さんはまだ習い初めだと見えて、琴の音色は何だかボコン、ボコン、ベコン、ボコンというように聞えて妙だったけれど、私は鳴物は大好だ。何時《いつ》聴いても悪くないと思った。
 で、遠音《とおね》に雪江さんの琴を聴きながら、主人の勘定高い話を聴いていると、琴の音が食料に搦《から》んだり、小遣に離れたりして、六円がボコン、三円でベコンというように聞えて、何だか変で、話も能《よ》く分らなかったが、分らぬ中《うち》に話は進んで、
「で、家《うち》も下女一人|外《ほか》使うて居らん。手不足じゃ。手不足の処《とこ》で君の世話をするのじゃから、客扱いにはされん。そりゃ手紙で阿父《おとッ》さんにも能《よ》う言うて上げてあるから、君も心得てるじゃろうな?」
「は。」
「からして勉強の合間には、少し家事も手伝う
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