縺sあげ》ましょうか?」
「なに、好《い》いです明日《あした》買って来るから」、と矢張《やっぱり》壁を視詰《みつ》めた儘で。
「私《あたし》要らないンだから、使っても好くってよ。」
「なに、好《い》いです、買って来るから。」
「本当《ほんと》に好くってよ、然う遠慮しないでも。今持って来てよ」、と蝶の舞うように翻然《ひらり》と身を翻《かえ》して、部屋を出て、姿は直ぐ見えなくなったが、其処らで若い華やかな声で、「其代り小さくッてよ」、というのが聞えて、軽い足音がパタパタと椽側を行く。
私は荷物の始末を忘れて、雪江さんの出て行った跡《あと》をうっかり見ていた。事に寄ると、口を開《あ》いていたかも知れぬ。
二十九
荷物を解《ほど》いていると、雪江さんが果して机を持って来て呉れた。成程小さい――が、折角の志《こころざし》を無にするも何だから、借りて置く事にして、礼をいって窓下《まどした》に据えると、雪江さんが、それよか入口の方が明るくッて好かろうという。入口では出入《ではい》りの邪魔になると思ったけれど、折角の助言《じょごん》を聴かぬのも何だから、言う通りに据直《すえ
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