ゥえ》すばかりで何日|経《た》っても話の纏まらぬ中《うち》に、同窓の何某《なにがし》はもう二三日|前《ぜん》に上京したし、何某《なにがし》は此|月末《つきずえ》に上京するという話も聞く。私は気が気でないから、眼の色を異《ちが》えて、父に逼《せま》り、果は血気に任せて、口惜《くや》し紛れに、金がないと言われるけれど、地面を売れば如何《どう》にかなりそうなものだ、それとも私の将来よりも地面の方が大事なら、学資は出して貰わんでも好い、旅費だけ都合して貰いたい、私は其で上京して苦学生になると、突飛《とっぴ》な事を言い出せば、父は其様《そん》な事には同意が出来ぬという、それは圧制だ、いや聞分《ききわけ》ないというものだと、親子顔を赤めて角芽立《つのめだ》つ側《そば》で、母がおろおろするという騒ぎ。
其時私の為には頗る都合の好い事があった。私と同期の卒業生で父も懇意にする去る家の息子が、何処のも同じ様に東京行きを望んで、親に拒まれて、自暴《やけ》を起し、或夜|窃《ひそか》に有金《ありがね》を偸出《ぬすみだ》して東京へ出奔すると、続いて二人程其真似をする者が出たので、同じ様な息子を持った諸方の親々
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