tに呑込めるだけ無暗《むやみ》に呑込む。尤も此連中は流石《さすが》に平生を省みて、敢て多くを望まない、責めて及第点だけは欲しいが、貰えようかと心配する、而《そう》して常は事毎に教師に抵抗して青年の意気の壮《さかん》なるに誇っていたのが、如何《どう》した機《はずみ》でか急に殊勝気《しゅしょうげ》を起し、敬礼も成る丈気を附けて丁寧にするようにして、それでも尚お危険を感ずると、運動と称して、教師の私宅へ推懸《おしか》けて行って、哀れッぽい事を言って来る。
 私は我儘者の常として、見栄坊《みえぼう》の、負嫌《まけぎらい》だったから、平生も余り不勉強の方ではなかった。無論学科が面白くてではない、学科は何時迄《いつまで》経《た》っても面白くも何ともないが、譬《たと》えば競馬へ引出された馬のようなもので、同じような青年と一つ埒入《らちない》に鼻を列べて見ると、負《まけ》るのが可厭《いや》でいきり出す、矢鱈《やたら》に無上《むしょう》にいきり出す。
 平生さえ然うだったから、況《いわん》や試験となると、宛然《さながら》の狂人《きちがい》になって、手拭を捻《ねじ》って向鉢巻《むこうはちまき》ばかりでは間
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