カなり。
凡人《ぼんにん》は聖人の縮図なり。
人生の真味は思想に上らず、思想を超脱せる者は幸《さいわい》なり。
二十世紀の文明は思想を超脱せんとする人間の努力たるべし。
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此様《こん》な事ならまだ幾らでも列べられるだろうが、列べたって詰らない。皆|啌《うそ》だ。啌《うそ》でない事を一つ書いて置こう。
私はポチが殺された当座は、人間の顔が皆犬殺しに見えた。是丈《これだけ》は本当の事だ。
二十一
小学から中学を終るまで、落第をも込めて前後十何年の間、毎日々々の学校通い、――考えて見れば面白くもない話だが、併し其を左程にも思わなかった。小学校の中《うち》は、内で親に小蒼蠅《こうるさ》く世話を焼かれるよりも、学校へ行って友達と騒ぐ方が面白い位に思っていたし、中学へ移ってからも、人間は斯うしたものと合点《がてん》して、何とも思わなかった。
しかし、凡《およ》そ学科に面白いというものは一つも無かった。何《ど》の学科も何の学科も、皆《みんな》味も卒気もない顰蹙《うんざり》する物ばかりだったが、就中《なかんずく》私の最も閉口したのは数学であった。
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