^リと小石を手から落した。と、何だか急に悲しくなって来て耐《たま》らなくなって、往来の真中で私は到頭シクシク泣出した。
二十
ポチの殺された当座は、私は食が細って痩せた程だった。が、其程の悲しみも子供の育つ勢には敵《かな》わない。間もなく私は又毎日学校へ通って、友達を相手にキャッキャッとふざけて元気よく遊ぶようになった……
―――――――――――――――
今日は如何《どう》したのか頭が重くて薩張《さっぱ》り書けん。徒書《むだがき》でもしよう。
[#ここから2字下げ]
愛は総ての存在を一にす。
愛は味《あじわ》うべくして知るべからず。
愛に住すれば人生に意義あり、愛を離るれば、人生は無意義なり。
人生の外《ほか》に出で、人生を望み見て、人生を思議する時、人生は遂に不可得《ふかとく》なり。
人生に目的ありと見、なしと見る、共に理智の作用のみ。理智の眼《まなこ》を抉出《けっしゅつ》して目的を見ざる処に、至味《しみ》存す。
理想は幻影のみ。
凡人《ぼんにん》は存在の中《うち》に住す、其一生は観念なり。詩人哲学者は存在の外《ほか》に遊離す、観念は其一
前へ
次へ
全207ページ中65ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
二葉亭 四迷 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング