tげて尾を掉《ふ》る所を、思いも寄らぬ太い棍棒がブンと風を截《き》って来て……と思うと、又胸が一杯になる。
ヒュウと悲しい音を立てて、空風《からかぜ》が吹いて通る。跡からカラカラに乾いた往来の中央《まんなか》を、砂烟《すなけぶり》が濛《ぼっ》と力のない渦を巻いて、捩《よじ》れてひょろひょろと行く。
私は其行方を眺めて茫然としていた。と、何処でかキャンキャンと二声三声犬の啼声がする……佶《きっ》と耳を引立《ひった》って見たが、もう其切《それきり》で聞えない。隣町あたりで凍《かじ》けたような物売の声がする。
何だか今の啼声が気になる。ポチは殺されたのだから、もう此処らで啼いてる筈はない。余所の犬だ余所の犬だ、と思いながら、何だか其儘聞流して了うのが残惜しくて、思わずパタパタと駈出したが、余所の犬じゃ詰らないと思返して、又|頽然《ぐたり》となると、足の運びも自然と遅《おそ》くなり、そろりそろりと草履を引摺《ひきずり》ながら、目的《あて》もなく小迷《さまよ》って行く。
小迷《さまよ》って行きながら、又ポチの事を考えていると、ふッと気が変って、何だか昨日《きのう》からの事が皆《みんな》嘘
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