Yミという物を生ずる。即ち勢《いきおい》だ。此|勢《いきおい》を制する人でなければ、人間一疋の通用が出来ぬけれど、私の様な斗※[#「竹かんむり/肖」、第3水準1−89−66]輩《やくざもの》になると、直ぐ其|勢《いきお》いに制せられて了って、吾は吾の吾ではなくなって、勢《いきおい》の自由になる吾、勢《いきおい》の吾になって了う。困ったものだが、仕方がない。私は人生研究の為お糸さんに接近しようと思ったのだけれど、接近しようとすると、忽ち妙なハメになって、二番さんだの八番さんだのという番号附けになってる俗物共の競争圏内に不覚《つい》捲込《まきこ》まれて了った。又|捲込《まきこ》まれざるを得ないのは、半襟二掛ばかりの効能《ききめ》じゃ三日と持たない。直《すぐ》消えて又元の木阿弥になる。二掛の半襟は惜しくはないが、もう斯うなると、勢《いきおい》に乗せられた吾が承知せぬ。憤然《やっき》となって二日二晩も考えた末、又一策を案じ出して、今度は昼のお糸さんの手隙《てすき》の時に、何とか好加減《いいかげん》な口実を設けて酒を命じた。酒を命ずればお糸さんが持って来る、お糸さんが持って来れば、些《ちっ》との
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